296 | 風景CGを使ったロケ地探し | 泉が丘 | 2002/06/01 15:32 | ||
先日、書店に行きまして、建物の外観や街並み、山や海などの景色からその場所を簡単に特定できるような、ロケ地探しに都合のいいものがないかと店内をうろついていましたら、建物はダメでしたが山でいいものがありました。 実業之日本社から出ている、杉本智彦著「カシミール3D入門」(ISBN4-408-00776-5)という本です。価格は1900円。 「カシミール3D」の詳しいことはhttp://www.kashmir3d.com/を見ていただくとして、この道具、地図上で場所と方角を指定すると、その場所から見える山の形を標高データから計算して描いてくれる機能が付いています。 この本にはカシミール3D本体と日本全土の標高データと関東甲信越地方の地形図が入ったCD-ROMが付属していますので、これだけでほとんどのロケ地がカバーできます。 ということで、この「カシミール3D」を使い、ロケ地の映像と同じ景色(山並み)が描ける場所を探してみました。 まず、ウルトラセブン「700キロを突っ走れ!」の朝霧高原で試してみました。 DVD版の5分25秒で車が走っていく先にある山ですが、影の向きからこのカットは北寄りの方角を見たものと判断しました。地図を見ると、このような山は朝霧高原では主に西側にあるようです。 そこで、北西方向の景色を描かせた状態でこの山並みに沿って移動してみると、毛無山のちょっと南側のあたりの景色が似ていることに気がつきました。稜線の重なりが映像と一致するように地図上を移動し、さらに画角、影の向き、遠景のかすみ具合を調節すると、ロケ映像と同じような山並みを描くことができました。 この場所は朝霧ジャンボリーゴルフ場の南側にある県道75号線上で、道に沿って北西方向をみた景色になります。毛無山は画面に映っていませんが映像のやや右側にあります。 同じく「700キロを突っ走れ!」の4分30秒あたり、何台もの車が連続して走ってくるカットは、山が逆光になっているように見えたため南を向いた映像と判断しまして、同じ山並を今度は南西方向を見ながら移動しました。 ここは朝霧ジャンボリーゴルフ場前にあるゴルフ場入り口交差点(県道75号線と国道139号線が合流するあたり)付近から道に沿って南西方向を見たところでしょう。画面左端の山は天子ヶ岳、その右は長者ヶ岳になります。 セブン「プロジェクト・ブルー」8分00秒あたり、朝起きたミヤベ博士がカーテンを開けると窓から富士山が見えるカットですが、これは難しい。ほとんど輪郭しか見えません。それでも、山ができるだけ鮮明に見えるように映像の明るさを調整してみました。 山頂中央の形状と、山肌にわずかに見える模様から、おそらくこれは富士山を北側から見たところだと思います。池の対岸までの水面がよく見えることと、対岸は平地で家があることから、河口湖畔の高台からの映像でしょうか? (河口湖にしては池が小さすぎるかもしれない) ウルトラQ「SOS富士山」の4分00秒あたり、子供たちがロケットを打ち上げをしていた場所は、富士山の右に伸びるすそ野の形から、ここも富士山の北側、鳴沢村付近だと思います。 4分20秒あたりの横山巡査の背景にある山は、おそらくここの国道139号線の北側の山で、三湖台(展望台)付近だと思いますが、この山、視点から山までの距離が近いため、描かれる山がだいぶ荒くなります。朝霧高原や富士山ほどロケ映像と一致するきれいな山を描くことができませんでしたので、はずれているかもしれません。 「セブン暗殺計画 前篇」の4分45秒、冒頭のモノクロ部分でガッツ星人がセブンについて評価しているシーンの最後、セブンからダンに戻って岩の上に現れるカットの場所ですが、このエピソードでは現在の相模湖ピクニックランドでロケが行われていることがわかっていましたので、その付近で見通しのよい場所を探したところ、ピクニックランドの東端付近から津久井町方面を見た景色であることがわかりました。 画面左側の山は津久井湖畔にある城山になります。 セブン「姿なき挑戦者」の9分03秒、ダンがポインターの上で高笑いをしているカットですが、この撮影は箱根で行われたとの記載が「セブンセブンセブン 私の恋人ウルトラセブン」の63ページにあります。問題のカットですが影の向きからカメラは東向きと判断し、箱根の山道を東を見ながら移動しているとロケ映像と同じような山が見える場所がありました。 箱根仙石原の西の山腹に片平と長尾峠をつなぐ県道736号線が通っていますが、片平側(国道138号)からこの道に入り、長尾峠方向に1kmほど進んだ場所で東側を見ると、ロケ映像のような景色が見えるはずです。ポインターの後ろの山は仙石原湿原の東側にある台が岳(ススキの原がある山)になります。 逆に仙石原高原側から県道736号線側を見た景色は、ウルトラセブン「蒸発都市」で13分17秒からの映像(フルハシとアンヌがコーラを飲んで休憩していたカットの背景)になります。しかしながら「姿なき挑戦者」の場所はドライブインの陰になっているので見えません。 以上が、これまで調べたロケ地です。 すでに確認したかのように説明してきましたが、じつのところ、まだ一カ所も現地調査はしていません。ですから、実際に行ってみたら違っていた、とか、現在では木や建物が邪魔になって確認できない、などという可能性があります。 ここ2週間ほどカシミール3Dで遊んでみた感想ですが、富士山は別として、手がかりが山の映像だけの場合は、ロケ地を見つけるのは難しいと思います。同じ山でも見る位置によって景色は大きく変わりますから。せめてロケ地のおおよその場所が判明していないと。 山の位置が判明していて、遠景に複数の稜線が重なり合って写っている場合などは、かなり正確に撮影地点を求めることができるようです。 また、山ができるなら海ではどうかと思い、入田浜で試してみましたが崖の形は描けません。真名瀬海岸から見た江ノ島でも難しいようです。標高データは50mメッシュとなっていますので、海岸線のように短い距離で形が急に変わる地形をあらわすには荒すぎるのでしょう。 ロケ地探を探すにはまず地図を見るんですが、ロケ映像に写っているのが山だけだと、そこが箱根だとか相模湖の近くだとか言われていても、ほとんどお手上げ状態です。候補地すら見つからないこともあります。 それでも、偶然の発見を期待してロケ映像のコピーと地図を持って現地調査を敢行するんですが、毎回うまくいくわけではありません(予想外のロケ地が見つかることがありますが)。 箱根には3回行きましたが「姿なき挑戦者」の道は見落としていました。また、以前書き込んだピクニックランドの場合は、その前の通りを何度も通っていましたが全く気づかず、5回目の現地調査で園内に入ってようやく見つけたような状態です。 この「カシミール3D」を使えば地形の概略だけなら現地に行かなくても確認できるのですからだいぶ助かります。 誰かこれの街版作ってくれなかなあ〜 それも昭和40年代前半の / 泉が丘 |
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