622 | ゴメスのトンネル | 泉が丘 | 2003/06/11 03:42 | ||
ご無沙汰しています。 この場所まだ判明していなかったと思いますので、また長くなりますが詳しく述べます。 ウルトラQ「ゴメスを倒せ!」のトンネル工事現場は中央自動車道の小仏第一トンネル西側付近でしょう。このあたりから見た景色がロケ映像と一致します。ここには上りと下りのトンネルがありますが、映像で掘削中だったトンネル坑口はおそらく上り線の入り口だと思います。 以下、詳細について説明します。 「ゴメスを倒せ!」の後半、孵化間もないリトラについてジロー少年が「赤ちゃんでもリトラはリトラ。やる気になれば強いんだ」と言っているカット(DVD版では20分30秒あたり)の背景ですが、ここには左手に比較的近い山の右下がりの斜面があり、遠景には二重になった稜線が見えます。これと同じ形の山が、八王子側から小仏トンネルに入って相模湖側に抜けたところで左前方に見えることを確認しました。 また、このトンネルを出たところで後ろを振り返り小仏峠方向を見ると、DVD版の2分54秒あたりで工事関係者が大きい方の坑口前を横切って駆け下りてくるカットとよく似た山並みが見えます。 そんなわけで、あの工事現場は小仏第一トンネルの西側だと判断しました。 次に、この付近の地形から判断すると、掘削中のトンネルは現在の上り線トンネル入り口だと思います。 国会図書館に日本道路公団発行の「中央高速道路工事誌」という本がありまして、これの小仏第一トンネル地質図のページにトンネル平面図が載っています。縮尺は1/5000ほどですから、通常の地形図より山や谷がわかりやすくなっています。 この図でトンネル西側付近の地形を見ると、上下線の間に山が張り出しています。等高線を使って地形とポータルの位置関係を示すとこんな感じです。 ↓尾根 / \ \/ / / /\ \ / / / ↑高い / \ \/ / / /\∩\ / / ↑ \/∩/ ↓低い ↑\ ↓ ↑ \/↓ 上り 下り うまく表示できるでしょうか? これをポータル正面から見るとこんなふうになるはずです。 尾根 谷 ↓ ↓ /\ / \ \ / \ \/∩ ∩ \ 前述の2分54秒の絵ではトンネル上部は左下がりの斜面で、左手には谷があることから、あのトンネルは上り線の坑口と判断しました。 そのほかの情報ですが、 ロケ映像でのトンネル工事現場は二段になった大小の坑口があり、下の坑口からは2本の線路が伸びており、ここを「鐵建」と書いてあるトロッコが走っています。 「中央高速道路工事誌」にはこれらに関する記述もあります。 小仏第一トンネル西側のトンネル掘削を請け負ったのは鉄建建設(株)でした。ここの掘削方式は、地質が不安定なため最初から目標とする大きさのトンネルを掘るのではなく、まず最初は底設導坑という小さなトンネルを掘り、それに後れて底設導坑の上側を目標とする大きさに丸く削り、さらに後れて底設導坑の左右を削るという工法でした。映像での手前の小さい坑口が底設導坑と思われます。 底設導坑の幅は4.4mで、その中に軌間762mmの軌条を2線入れたとなっています。 ここの工期は昭和39年5月〜42年6月ですから、「ゴメスを倒せ!」の制作期間を含みます(ウルトラQ全記録 http://homepage2.nifty.com/ultraq/ によりますとゴメスの制作は昭和40年2〜3月となっています)。 現在のロケ地の状況ですが、下り線上から見たところでは、ロケ映像を思わせるような物、つまりトロッコとか、作業小屋とかコンクリートプラントなどは当然のことながら残っていないように見えました。墓標も見あたらないようです。 反対の上り線から見た景色は? というと、この第一トンネルの手前約50mには第二トンネル出口があるんですが、このトンネル間は屋根で覆われているため、周囲の景色はほとんど見えません。 高速道路の外からポータル周囲を確認したかったのですが、この周囲は立ち入り禁止になっていました。 発見のきっかけは今回もまたあのカシミール3Dの風景描画機能のおかげです。上り線第一トンネルと第二トンネルの中間あたりから相模湖方面を見ると前述の20分30秒のような二重の稜線が描けますが、このような遠景が描ける範囲は限られます。ここは谷間にあるため、場所を選ばないと手前の山が邪魔になって遠景が全く描けません。 小仏トンネル西側については、以前から地図を見るたび、トンネルの向きや周囲の地形がロケ映像に似ていると思っていたのですが、うまく遠景が描けなかったため気づかずにいました。 最近になって鉄建建設がこのトンネルを作ったことがわかったため、ロケ映像のような景色が描けないのは、もしやトンネルの位置が撮影当時とは違うのでは?と思い、少しずつ場所を変えて描いているうちに、描く場所の影響が大きいことに気がついた次第です。 tsuzukiさんには、現地で撮った写真をお送りしますのでご参考ください。 |
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