昭和橋


2003年5月

ウルトラセブン「必殺の0.1秒」に登場した黄色い鉄橋(以下単に黄色い鉄橋)は、奥多摩にある昭和橋と思われます。奥多摩にある昭和橋は多摩川にかかる橋で、そのすぐ上流側では多摩川と日原川が合流しています。

上の写真は、セブンの映像に似せて、昭和橋を下流側から見下ろすように撮影したものです。セブンでは写真に向かってもっと右側から撮影したのだと思いますが、建物や木々の関係で、現在同じように撮影するのは困難です。

現在の昭和橋と黄色い鉄橋とでは類似点が多くある一方、相違点もあります。相違点とは橋の色と鉄骨の組み方です。現在の昭和橋は赤色ですが、これは単に塗り替えられただけだと思います。鉄骨の違いは補強工事によるものだと思います。

以下では、2つの橋の類似点と相違点を詳しく説明するとともに、昭和橋に補強工事があったと考える理由を説明します。

黄色い鉄橋の特徴
図:黄色い橋の特徴

まず、黄色い鉄橋の特徴を6つ示します(上図)。その特徴とは、橋の右岸側に5段のトラスがあること(特徴1)、橋側面はトラス構造になっていないこと(特徴2)、岸から橋の中央までの側面に7本の柱があること(特徴3)、橋の側面には細い筋が柱の間に4本あること、岸に家が建っていること、そして橋の下で川が合流しているような水の流れになっていることです。

次に、現在の昭和橋が、これら6つの特徴のうち特徴2以外の5つを持っていることを示します。

昭和橋右岸側 昭和橋の右岸側(説明付き)
2003年5月

上の2つの写真は、現在の昭和橋の右岸側を写したものです。右の写真は左の写真に説明をつけたものです。これらによって、現在の昭和橋は特徴1、特徴3、特徴4をもっていることが分かると思います。

現在の昭和橋が特徴5を持っていることは、このページの1枚目の写真で分かります。昭和45年の地図にも左岸側に建物が描かれています。

特徴6については、1枚目の写真では分かりにくいので、昭和橋の上から上流側を撮影した写真を次に示します。写真奥からの流れてくるのが多摩川、写真右から流れてくるのが日原川です。

多摩川と日原川の合流地点
2003年5月

以上のように、現在の昭和橋は黄色い鉄橋と多くの類似点を持つ一方、特徴2を持っていません。現在の昭和橋の側面はトラス構造になっており、ちょうど黄色い鉄橋に鉄骨を足したようになっています。

その鉄骨の違いは、補強工事のためだと思います。昭和橋のたもとには昭和橋の竣工年月が2つ書いてあります(下の写真)。1つは「昭和三十四年八月完成」で、もう1つは「平成四年七月完成」です。つまり、昭和34年に完成したこの橋に、平成4年に補強工事が施され、鉄骨が足されたのだと思います。

昭和橋の竣工年月
2003年5月

追記(2003年5月24日): 補強工事前の昭和橋の写真を見つけました。


2003年5月

昭和橋付近に建っているある旅館の看板が、JR奥多摩駅構内にあります。上の写真がそれです。この写真から、かつての昭和橋の側面はトラス構造になっていなかったことが分かります。